データ参照:厚生労働省『介護従事者処遇状況等調査結果』2020年
(文字が小さくてすみません。スマホの方は拡大してご覧ください。)
厚生労働省の調査によると、介護職員の給料(月給)の平均は308,370円です。この給料は、管理職ではない介護職員の平均給与です。
介護施設の業態によって月給に差があることがわかります。介護職員の平均給料を見るときは、施設・業態での違いを無視できません。

そもそも月給って、どのことを言うんですか?

基本給と固定手当を合わせた金額です。
しかし、この厚生労働省のデータには違和感を覚えます。介護現場の現実な給料よりもずいぶんと高いのです。
一方、介護労働安定センターの調査では、介護の労働者の給料の平均は243,135円です。この給料は、管理者を除く、一般労働者の平均給与です。
介護労働安定センターの調査結果の方が、介護職員の実際の給料に近いです。
そこで、介護労働安定センターの給料の値を基準にして、厚生労働省のデータを補正してみたところ、介護施設・業態別のリアルな平均給料が出てきました。
この記事では、介護職員の平均給与について解説します。
目次
介護士の平均給与(厚生労働省)と手取り
データ参照:厚生労働省『介護従事者処遇状況等調査結果』2020年
月給(円) | 手取り(円) | |
---|---|---|
平均 | 308370 | 258165 |
介護老人福祉施設 | 344140 | 287130 |
介護老人保健施設 | 330760 | 274220 |
介護療養型医療施設 | 303710 | 253629 |
介護医療院 | 309000 | 258793 |
訪問介護事業所 | 283220 | 236654 |
通所介護事業所 | 274160 | 227952 |
通所リハビリテーション事業所 | 298020 | 248166 |
特定施設入居者生活介護事業所 | 312950 | 259807 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 277920 | 231580 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 279810 | 233365 |
上の表は、厚生労働省の調査結果による介護職員(管理職ではない)の月給と、月給から手取りを算出したものです。
手取りは、住んでる地域によって税金が違うので、東京都の40歳以下の介護職員としてシミュレーションしています。
介護職員の手取りの平均は、月給から税金・社会保険料(4.5~5万円)程度が天引きされた258,165円になります。
特養・老健の介護職は給料が高い
介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設(老健)の介護職員の月給は比較的高めです。
特養と老健は、 要介護度の高い利用者を昼夜を通して介護する必要があるため、介護職員に夜勤があります。
夜勤がある介護施設・業態では、平均給与が必然的に高くなります。

それでも全体的に高くないですか?私、こんなにもらってないです。

厚生労働省の調査結果は、現実の給料相場より高めですよね。
介護士の平均給与(介護労働安定センター)
データ参照:介護労働安定センター『介護労働実態調査』2020年
介護労働安定センターの調査では、介護の一般労働者の所定内賃金(無期雇用職員、月給の者)の平均賃金は、243,135円となっています。
この給料は、現実にかなり近い値だと感じました。
私が介護職のときにもらっていた給料と、ほぼ同じだからです。
ただ、介護労働安定センターのデータは、介護施設の業態別の給料が分かりません。
そこで、介護労働安定センターの給料の値を基準にして、厚生労働省の施設ごとの給料を補正してみました。
介護士の平均給料(現実値)と手取り
月給(円) | 手取り(円) | |
---|---|---|
平均 | 243135 | 203588 |
介護老人福祉施設 | 271338 | 225238 |
介護老人保健施設 | 260788 | 217864 |
介護療養型医療施設 | 239461 | 200065 |
介護医療院 | 243632 | 204003 |
訪問介護事業所 | 223305 | 187201 |
通所介護事業所 | 216162 | 180360 |
通所リハビリテーション事業所 | 234975 | 195732 |
特定施設入居者生活介護事業所 | 246746 | 207038 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 219127 | 183176 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 220617 | 184591 |
介護労働安定センターのデータがリアルなだけあって、介護施設の業態別の平均給料もリアルな値となっています。
手取りの金額は、先ほどと同様に東京都の40歳以下の介護職員としてシミュレーションしています。

これなら私のお給料とほぼ同じです。
介護士の初任給は、こちらの記事でシミュレーションしています。
実際の介護職の給料はどうだったのか
私がリアルにもらっていた給料は、無資格のときで月給20万円ちょっとです。だから、手取りは17万円くらいでした。
つまり、介護労働安定センターの調査結果を基準に補正した介護施設ごとの月給は、介護職の給料にかなり近いです。
対して、厚生労働省の調査結果は現実離れしています。調査依頼11,323施設に対して、7,346施設の有効回答。有効回答率は約60%。
残りの40%の施設には、厚生労働省に回答できないような待遇・給料の施設が多くあるのではないかと感じました。
低い給料しか払えない施設・事業所が、厚生労働省の調査に協力的になるとはそもそも思えないわけです。
(実際に、介護職員処遇改善加算に対応できていない施設は調査結果に含まれていません。)
平均給料を参考にして転職も視野に
介護職員の平均給料を見てきました。
平均給料なので、平均よりも多い職場もあれば、少ない職場もあります。せっかく働くなら給料が多い職場で働きたいものです。
転職を考える機会があったときにもっともおすすめしたい働き方が、介護派遣です。
派遣として働くメリット
- 施設を選べる:働く介護施設を選べます。嫌なら期間満了で移ることができます。コーディネーターから評判を聞きながら選べるのも良い点です。
- 時給が高い:他の時給労働より、派遣の時給のほうがはるかに高いです。(厚生労働省の調査1,110円、全労連の調査1,104円)
- 残業がない:基本的に定時です。残業があった場合は残業代を正確に請求できます。(サービス残業はあり得ません。)
- 時間を作れる:介護福祉士などの資格を勉強する時間を作れます。資格を取得したうえで転職するほうが賢い生き方です。
正社員を希望する場合でも、まず派遣社員をおすすめします。
派遣社員として実際に職場で働いてみて、いい職場だな。と思ったら、そこの職員さんに掛け合って正社員化を希望するのが正攻法です。
私も、介護派遣の時期がありました。いじめに近い嫌がらせをされた職場もありましたが、派遣期間の切れ目で職場を移ることができました。
働きやすい職場は必ずあります。実際に職場を体験しながら施設を選べる派遣の働き方は、介護職にとても合っています。
まとめ
- 厚生労働省の調査によると、介護職員の給料(月給)の平均は308,370円。しかし、この給与額は現実離れしている。
- 介護職員の平均給料を見るときは、施設・業態ごとの給料の違いを意識する必要がある。
- 介護労働安定センターの調査によると、介護の労働者の給料の平均は243,135円。これはリアルな給料相場に近い。
- 私がリアルにもらっていた給料は、無資格のときで月給20万円ちょっと。だから、手取りは17万円くらいだった。
- 転職を考える機会があったときにもっともおすすめしたい働き方が、介護派遣。実際に働いてみながら、職場を選ぶことができるのは最大のメリット。